No.30 
2012年7月号 

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言語グリッドニュースレターについて

石田大成社がオフィシャルスポンサーに! 世界各地に言語グリッドサーバーを提供

今年2月に株式会社 石田大成社は言語グリッド京都オペレーションセンターと、言語グリッドサーバ機器に関する覚書を締結し、言語グリッドのオフィシャルスポンサーとして世界各地に言語グリッドサーバ用の機器を設置、提供することになりました。





石田大成社による言語グリッドサーバの配置予定


提供されるサーバ機器は、言語グリッド京都オペレーションセンターと覚書を締結している連携運営組織間で共有され、各運営組織が管理する言語グリッドサーバや言語サービスが配備される予定です。これにより、今後の言語グリッドの世界展開が加速されることが期待されるとともに、安定的な運営が持続可能となります。また、世界各地に言語グリッド京都オペレーションセンターの言語グリッドサーバが設置されるため、日本の言語グリッドサーバから距離が遠くこれまでサービスのレスポンスが遅かったヨーロッパやアメリカでの言語グリッドの応答速度が改善される予定です。

現在、この覚書に基づき、3月にインドネシアのデータセンターに、6月にアメリカのデータセンターにサーバ機器が設置されました。言語グリッドサーバや言語サービスのサーバ機器への配備が完了した後、言語グリッドサービスマネージャ上に各地の言語グリッドサーバのタブが表示され、各サーバ上の言語サービスのアクセス先URLを確認することができます。今後は、日本、タイ、ヨーロッパに順次サーバが設置されていく予定です.


言語サービス・言語資源

■Web-Transer復活


 昨年4月よりサービスの提供を中止しておりましたクロスランゲージ社のWEB-Transerですが、サービスの提供を再開しております。対応言語は以前と同じように日本語、中国語、韓国語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語の9言語になります。アジア系の言語間の翻訳を行うには日本語をハブに、ヨーロッパ系の言語間の翻訳を行うには英語をハブにしてご利用ください。なお、サービスID(KyotoUCLWT)に変更はありませんので、以前と同様の方法でご利用いただけます。翻訳サーバソフトウェアを用いたサービスですので、ヨーロッパ系の言語の大量の翻訳を行う際にはWEB-Transerのご利用をおすすめいたします。



■新しい言語サービスが追加されました


言語サービス名、提供者、対応言語の順に記載しています。
【サービスタイプ:その他】
・「Word Translation Combined with Temporal Dictionary」/京都大学/複合サービス/
このサービスはWord文書を受けとり、翻訳されたWord文書を返します。


米国NSFプロジェクトと連携

米国 National Science Foundation(NSF)プロジェクト「The Language Application Grid: A Framework for Rapid Adaptation and Reuse」(代表者:ヴァッサー大学計算機科学専攻 Nancy Ide教授、ブランダイス大学計算機科学専攻James Pustejovsky教授)と、科学研究費補助金:基盤研究(S)「マルチエージェントモデルに基づく持続可能な言語サービス基盤の世界展開」(代表者:京都大学社会情報学専攻 石田亨 教授)の2つのプロジェクトは、言語グリッド基盤ソフトウェアの利用と言語サービスの標準化研究について、協力することを合意しました。

上記NSFプロジェクトは米国における言語サービスに関する主要のプロジェクトであり、「言語資源から言語サービスへ」という方向を、言語グリッドプロジェクトと共有しています。両プロジェクトの代表者と関係者らの第1回会合が、2012年7月16日~7月20日に京都大学で開催され、今後の協力体制について話し合われる予定です。


研究報告

■Language Resources, Technology and Services in the Sharing Paradigm(LRTS)の参加報告


2011年11月12日にチェンマイで、International Joint Conference on Natural Language Processingの併設ワークショップとして、Language Resources, Technology and Services in the Sharing Paradigmが開催されました。本ワークショップは、FLaReNet、META-SHARE、言語グリッドの3プロジェクトの共同で、言語資源を共有するためのインフラの課題について議論し、今後の国際連携を促進するために企画されました。

発表は、言語グリッド関連4件、META-SHARE関連4件、FLaReNet関連3件を含む14件が行われました。META-SHAREやFLaReNet関連の発表では、言語サービスを整理するためのカタログやメタデータに関するものと、相互運用を実現するインフラとしてUIMAに関するものが主で、ヨーロッパのプロジェクトは、自然言語処理の研究者向けに大量のテキスト解析を実現するインフラ構築へと向かっていました。一方、言語グリッドはフィールドワークを行うエンドユーザ向けの言語サービスのインフラを目指しており、今回のワークショップにより両者のスタンスが明確となりました。今後は、両者のスタンスを尊重することで、META-SHAREで標準化される言語サービスメタデータの言語グリッドへの導入や、言語サービス連携エンジンとしてUIMAと言語グリッドの統合などで緩やかな連携が期待されます。



■「言語グリッドと異文化コラボレーション」特集研究会の報告



 2011年10月20日(木)に、京都大学百周年時計台記念館において、電子情報通信学会「人工知能と知識処理」「異文化コラボレーション」合同研究会が開催されました。テーマは、「言語グリッドと異文化コラボレーション」で、全部で8件の発表がありました。

発表された内容は、医療用例対訳の作成、言語サービスの連携・選択、日本語学習者支援の例文構築、翻訳リペア支援、非母語での音声対話実験、日中チャットにおける文化知識の効果、Wikipediaを用いた文化差検出などです。異文化コラボレーションに関する、興味深い発表がたくさんありました。今回は、質疑の時間が20分と少し長めで、大変盛り上がった充実した議論が行われました。







電子情報通信学会 人工知能と知識処理研究会(AI)の報告


人工知能と知識処理研究会(AI)として「クラウドソーシング」をテーマとした研究会が、2012年 2月28日に京都大学 東京オフィスにて行われました。

クラウドソーシングは、不特定多数の群衆に業務を委託する新しい労働のシステムであり、翻訳の業務にも使われはじめています。この点で、多言語コミュニケーション基盤である言語グリッドと関係する技術であると言えます。本研究会でも、クラウドソーシングを利用した翻訳プロセス/翻訳システム/単語へのメタ情報付けなど、クラウドソーシングと多言語コミュニケーションに関係する研究が発表されました。



■電子情報通信学会論文誌(Vol.J95-D, No.1, 2012年1月号)へ論文掲載


下記の5編の論文が、異文化コラボレーション特集論文として、掲載されました。

  • 「言語グリッド: サービス指向の多言語基盤」
    石田 亨,村上 陽平2,稲葉 利江子,林 冬惠2,田仲 正弘2京都大学,2独)情報通信研究機構)

  • 「折り返し翻訳文と対象言語翻訳文の精度不一致要因」
    宮部 真衣,吉野 孝2東京大学, 2和歌山大学)

  • 「多言語校務文書ポータルサイトにおけるキーワードサジェスト機能のユーザ評価」
    安田 圭志1,内山 将夫,大熊 英男,隅田 英一郎,松田 繁樹,磯谷 亮輔2,河井 恒,中村 哲3
    独)情報通信研究機構,2日本電気(株),3奈良先端科学技術大学院大学)

  • 「音声翻訳システム実利用データを用いたシステム改善手法」
    澤晃 平,堀 雅洋,喜多 千草 (関西大学)

  • 「Wikipedia翻訳のための多言語議論の支援」
    石田 憲幸,高崎 俊之,石松 昌展,石田 亨(京都大学)

言語グリッド ユーザ紹介(第30回):バンコクオペレーションセンター

【バンコクオペレーションセンターにおけるタイ洪水の影響】

2011年10月12日、NSTDAはNSTDAのスタッフに対して、サイエンスパークから避難するように指示し、サイエンスパークを閉鎖することを決定しました。また、出来る限りエネルギーを節約するために、Webサーバやメールサーバなどの重要なサーバ以外のサーバを停止しました。NSTDAやNECTECのスタッフはタマサート大学やアジア工科大学と協力し、NECTECを洪水から防ごうとしましたが、我々は回避することができず、10月22日にサイエンスパークは浸水しました。

left right


言語グリッドバンコクオペレーションセンターは洪水の影響を受けました.また、我々の協力組織であるカセタート大学やシリントーン国際工学部(SIIT)も洪水の影響を受けました。両大学は言語サービスの開発を行っており、来月(2012年1月)には両大学と覚書を締結する予定です。

現在(2011年12月)、NECTECは通常の状態に戻っており、全ての電源も復旧しています。NECTECは、クラウドコンピューティングのコンセプトを実現し、電力を節電するために構築しているGreen Data Center Roomに全てのサーバを移す予定です。また、我々は来年(2012年)にはGreen Data Center Roomに言語グリッドのサーバを設置する予定です。

(2011年12月 NECTEC Virach Sornlertlamvanic)



定期メンテナンス(8月6日・9月3日・10月1日)及び臨時停止(8月8日‐9日)

■定期メンテナンス


定期メンテナンスを下記の通り予定しております。この日時に言語グリッド利用の予定がある場合は、事前にoperation [at] langrid.orgまでご連絡ください。

  • 8月6日(月)18:00-21:00 (JST)
  • 9月3日(月)18:00-21:00 (JST)
  • 10月1日(月)18:00-21:00 (JST)

※原則、毎月第一月曜日18:00-21:00 (JST)に行います。言語グリッドのポータルサイトのWhat’s newにも掲載いたしますので、こちらhttp://langrid.org/jp/をご覧ください。



■臨時停止


耐震工事に伴う移設作業のため、下記の通り臨時停止いたします。

  • 8月8日(水)00:00-24:00 (JST) 完全停止
  • 8月9日(木)00:00-24:00 (JST) 繋がらない可能性があります