No.32 
2015年3月号 

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言語グリッドニュースレターについて

言語サービス・言語資源

◆新しく2言語サービスが追加されました。(言語サービス名、提供者(著作権者)、対応言語の順に記載しています。)

【辞書連携翻訳による折り返し翻訳(複合サービス)】


【辞書連携翻訳(複合サービス)】


研究報告

◆異文化コラボレーション研究会2014の報告

2014年2月26日(木)に、大阪電気通信大学寝屋川キャンパスにおいて、「異文化コラボレーション」研究会との共催で、電子情報通信学会「人工知能と知識処理」研究会が開催されました。テーマは、「言語グリッドと異文化コラボレーション」で、全部で9件の発表がありました。

発表された内容は、用例対訳の作成促進、クラウドソーシングによる用例対訳作成、非母語者の電話会議参加支援、文書への補助情報の挿入による読解補助、文書敬語の解析、日本語初学者向けの学習テキストの検証、音声入力による用例対訳検索、ベトナム農業支援における多言語知識コミュニケーション、個人用言語サービス基盤「Language Mashup」の提案などです。異文化コラボレーションに関する、興味深い発表がたくさんあり、充実した議論が行われました。


◆LREC2014 Workshopの参加報告

2014年5月31日にアイスランドのレイキャビックで、LREC2014のワークショップとしてWorkshop on Language Technology Service Platforms: Synergies, Standards, Sharingが開催されました.本ワークショップでは、言語サービス基盤に関連した、サービス間の相互運用やサービスのライセンシング、サービスの品質評価などについて12件の発表が行われました。また、 META-NET/META-SHARELAPPS GridCLARINMLiなど欧米の言語サービス基盤の活動を推進する主要なプロジェクトから発表者が集まっており、基盤間の相互運用やプロジェクト間の国際連携についても活発な意見交換が行われました。

日本からは京都大学の言語グリッドプロジェクトが参加し、LAPPS Gridとの言語サービスの相互運用を目的とした言語サービスオントロジーの提案や、META-SHAREとの言語サービスメタデータの共有メカニズムについて発表を行いました。その結果、MLiから多言語サービス基盤の構築について協力を求められ、今後、サービスグリッドサーバソフトウェアの技術移転などを通じて連携していく予定です。


受賞報告

◆2012年度電子情報通信学会業績賞受賞

言語グリッドの研究開発が、2012年度電子情報通信学会業績賞を受賞しました。

◆国際会議FGCT2013の最優秀論文賞受賞

言語グリッドを利用した多言語対話の参加型シミュレーションに関する研究が、2013 International Conference on Future Generation Communication Technologies (FGCT2013)の最優秀論文賞を受賞しました。研究を進めておられる早稲田大学野瀬泰史君と菱山玲子教授、おめでとうございます!

    受賞論文:Taishi Nose, Reiko Hishiyama: Analysis of Self-tagging during Conversational Chat in Multilingual Gaming Simulation, International Conference on Future Generation Communication Technologies (FGCT2013), December 12-14, 2013.
    受賞者:野瀬泰史・菱山玲子(早稲田大学)

言語グリッドプロジェクト紹介:2013年度YMC-Viet project実験報告

NPO法人パンゲア主催で実施されているYMCVietプロジェクトの2013年度の実証実験が、2013年9月から翌2014年1月にかけて行われました。YMCVietプロジェクトは、日本人農業専門家がインターネットを通じてベトナム人児童に農業を教えることで、その親であるベトナム人農家に間接的に農業支援をするプロジェクトで、日本人専門家とベトナム人児童のコミュニケーションに言語グリッドが応用されています。2013年度は第三回目の実証実験となり、第一回、第二回の実証実験でも対象となったヴィンロン省・トラオン地区のティエンミ村から15家庭親子が参加したことに加え、新たな場所として、同じくヴィンロン省のビンミン地区・ドンタン村からも15家庭が参加し、この二つの地区を平行して実験が行われました。日本人農業専門家も、JICAや九州沖縄研究農業センター、農研機構の作物研究所などから新たな参加者が加わり、合計で13人の体制となっています。

実証実験の終了後には言語グリッドを使った多言語コミュニケーションの評価のため、京大チームが現地に入り、参加した各家庭にインタビュー調査を行いました。

この調査の分析から、YMCVietプロジェクトは年度を重ねるごとにコミュニケーションの質が向上し、現地に適応してきていることが分かってきました。本プロジェクトは2014年が最終年度となっており、これまでの実験の総まとめが期待されます。


YMCシステムを操作するドンタン村の児童達

参加児童へのインタビュー調査の様子

また、2013年度のYMC Vietの成果報告の場として、2014年1月7日にハノイで、The 3rd Vietnam-Japan Workshop on Youth Mediated Communicationが開催されました。本ワークショップは、ベトナムMinistry of Agriculture and Rural Development(MARD)が主催で、言語グリッドを用いたベトナム農業支援プロジェクトYMC-Vietの現状と課題が議論され、今後のプロジェクト自立運営について意見交換が行われました。当日来場した30名を越える参加者には、MARDのみならず、農業教育の研究機関 National Agricultural Extension Centre (NAEC)や、他の省でYMC-Vietプロジェクトに興味を持つ役人(バクザン省)や現在実施しているビンロン省の責任者も参加されました。ベトナムの通信会社からも 3名来場していました。日本からは、JST RISTEX・NPOパンゲア・京都大学・東京大学・三重大学・早稲田大学の関係者が参加され、YMC-Vietプロジェクトにおける農業知識支援と多言語支援に関する研究活動について発表がなされました。

2013年度YMCVietプロジェクトの集合写真

また、ワークショップ前の1月5日に、YMC-Vietプロジェクトが実施されているビンロン省Binh Minh地区Dong Thanhコミューンでサイトビジットが行われました。サイトビジット一行はベトナム児童達がYMCシステムを利用する活動を観察し、農家の家庭訪問と稲作圃場の見学を行い、ビンロン省の責任者および現地ファシリテータらと意見を交換しました。


稲作圃場の見学





言語グリッド ユーザ紹介(第32回):津田塾大学 稲葉研究室

研究室の学生と

津田塾大学情報科学科では2年生の必修科目として、情報科学に関する3つのトピックを複数の教員の指導のもと半期で実施する「2年プロジェクト」という授業があります。平成25年度から、そのひとつのトピックとして、言語グリッドを用いた言語サービスサイトを構築するというプロジェクトを全5回の授業で実施しています。学生が「自分が欲しい翻訳サービスサイト」の設計を行い、構築するのですが、多言語工房からライブラリが提供されていることで、PHPの初心者の学生であっても容易に実現ができています。アジア旅行に特化した翻訳サイト「アジアの旅へようこそ」、各国後での各種挨拶を翻訳する「らくらく挨拶翻訳」サイトなど、各学生の個性が出るサイトとなっており、学生たちも自分のアイデアが形になっていくことを楽しんでいます。

また、言語グリッドプロジェクトが参加型デザインを重要視してきたことに習い、このプロジェクトを通して、単なるプログラム実習ではなく、開発者が利用者の視点をもち、情報サービスが提供されることの大切さを学生に実感して欲しいと考えています。
(担当教員:稲葉利江子)

定期メンテナンス: 2015年4月・5月・6月

下記の通り予定しております。この日時に言語グリッド利用の予定がある場合は、事前にoperation [at] langrid.orgまでご連絡ください。

  • 4月14日(火)16:00-20:00 (JST)
  • 5月12日(火)16:00-20:00 (JST)
  • 6月9日(火)16:00-20:00 (JST)

毎月第二火曜日16:00-20:00 (JST)にメンテナンスを実施致します。
言語グリッドのポータルサイトのWhat's newにも掲載いたしますので、こちらhttp://langrid.org/jp/をご覧ください。