No.11 
2009年5月1日号 

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言語グリッドニュースレターについて

新しい言語資源が追加されました

医療分野の新しい用例対訳が追加されました。
※言語資源名、提供者、言語の順に記載しています。なお、下記の言語資源は吉野研究室が田辺三菱製薬の許可を得て言語グリッドに登録したものです。

田辺三菱製薬 病院で使う外国語会話集/和歌山大学 吉野研究室(日、英、葡、西、露、タガログ)
田辺三菱製薬 薬局で使う外国語会話集/和歌山大学 吉野研究室(日、英、葡、西、タガログ)


高電社 J-Server 言語グリッドでASPサービス提供開始予定

5月中に高電社の機械翻訳J-ServerのASPサービスが「Members Only」の言語資源として言語グリッドに登録される予定です。 こちらは申込者のみ利用できる有料のサービスで、言語ペアごと(日英、日中、日韓)に登録されます。 すでに言語グリッドに登録されている無料のJ-Server(NICT/京都大学より提供)と比較すると、常に新しい訳語が追加された最新バージョンの翻訳エンジンを利用できるのが特長です。 さらに、ASPサービスは高電社の複数台のサーバでサービスが提供されるため、負荷集中によるアクセスエラーの発生も避けることができます。

J-Server ASPサービスの利用申込方法は近日中に公開予定です。
(5/19追記)事情により、ASPサービス公開は6月に延期となりました。


定期メンテナンス 6月

6月の定期メンテナンスは、6月 1日(月) 18:00 - 21:00 (JST)に行います。この日時に言語グリッド利用の予定がある場合は、事前にoperation [at] langrid.orgまでご連絡ください。


言語グリッドの活用事例:研究室の辞書を作りませんか?

皆様の研究室ではどのように留学生の方と研究活動を進めていますか?石田・松原研究室の研究報告会では、 日本人学生は研究会資料を機械翻訳で英語化して留学生に配布しています。

「専門用語だらけの研究資料を機械翻訳する」という方法で本当にうまく行くの?と思われた方も多いかもしれません。 石田・松原研究室では、研究室でよく使われる専門用語(エージェントや言語グリッドに関係する用語)を蓄積した辞書を研究室のメンバーで協力して作成しています。 現在ではこの辞書は1,000語以上の単語を含む大きな辞書となっています。この辞書を機械翻訳に連携させることで、 留学生が十分に理解できる英語資料を簡単に作成することができています。

実際に、私の論文(日本語)の一部から、 辞書なしで翻訳した英文辞書ありで翻訳した英文を作成してみました。これらを比較してみてください。 例えば、「共同翻訳」という私の研究の用語が辞書なしだとcommon translationと翻訳されているのですが、辞書有りだとcollaborative translationと正しく修正されています。 また、文章中の「言語の壁」が辞書なしだとlinguistic wallと翻訳されていますが、辞書ありだとlanguage barrierと正しく翻訳されます。

辞書をインターネット上で利用可能にし、それを連携した機械翻訳を行うことは、 Language Grid PlaygroundDictionary Creation(辞書作成)サービスDocument Translation(文書翻訳)サービスを利用することで簡単に実現できます。 研究室の辞書も、1人1人が50語程度の専門用語の辞書を作るだけで、簡単に大きな辞書を作成できます。ぜひ、皆様の研究室でも専用の辞書を作成し、 留学生の支援に役立ててみませんか? (京都大学 石田・松原研究室 森田大翼


サービスコンピューティング時限研究会発足

言語グリッドの基盤技術であるサービスコンピューティングの時限研究専門委員会が、 4月に電子情報通信学会にて発足しました。

サービスコンピューティングとは、サービスを単位としてインターネット上にソフトウェアを構築し利用する技術です。 従来のプログラムコンポーネントが Webサービスに置き換えられ、プログラムの稼働や運用をサービス提供者にアウトソーシングできることにより、 システムの開発に要する期間の短縮や、 運用や設備の維持管理などコストの減少が可能になり。ソフトウェアの再利用が促進されます。
言語グリッドの多言語サービスを利用したサービスコンピューティング研究の発表の場としてご活用ください。


言語グリッド ユーザ紹介(11) 長岡技術科学大学 湯川研究室

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言語グリッド研究会での発表の様子

長岡技術科学大学知識システム研究室では、インターネット等で流通する大量の情報から必要な知識を取出して集約・構成する 「知識オーガナイザ」の実現を最終的な目標として、テキスト処理技術、知識処理技術とその応用システムに関する研究を進めています。 近年は、知識オーガナイザを構成要素となり得る技術を高度化すべく、質問応答システム、特許マップシステム、インテリジェント掲示板システム、 言語横断情報検索システム等を対象に研究しています。

この中で、言語横断情報検索システムは、問合せに用いる言語とは異った言語で書かれた文書でも、問合せに関連する内容であれば探し出すことができるシステムです。 言語横断検索システムでは、検索対象文書の言語に合うように問合せを翻訳して検索するのが一般的です。 問合せの翻訳では、検索意図をうまく表現した適切で少数の語の組として翻訳結果を得たいという点が、通常の文章の翻訳とは異なります。このような翻訳を実現するには、 複数の翻訳システムや複数分野の辞書を連携させて用いるのが効果的ではないかと考え、言語グリッドを利用させて頂いています。

これまで様々な連携手法を試みて改良を施し、また、当研究室が保持する「概念ベース」とも組合せて、最近では、かなり良好な検索精度が得られるようになりました。 今後、学会等でその成果について発表するとともに、言語横断検索を核とした応用システムの研究へと発展させていく予定です。