No.23 
2010年6月14日号 

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言語グリッドニュースレターについて

言語グリッド新覚書のリリース

連邦制の運営
 
連邦制の運営

 
 
 ■連邦制運営のための新覚書がリリース  

連邦制の運営とは、異なる運営組織同士がそれぞれ管理する言語グリッドを接続し連携して運営する方式です。運営組織間で相互に覚書を締結することで、各運営組織が管理する言語サービスを共有でき、一方の利用組織が他方の利用組織の提供したサービスを利用することができます。今夏から、タイのNECTECとの連邦制運営を開始する予定です。

今回の覚書の改訂に合わせて、以下のようにサービスの利用範囲も広がっています。

 
- 利用目的の拡大  

非営利目的だけでなく、提供者が許可したサービスに限り研究目的での利用も認められます。

 
- 応用システムの管理方法の緩和  

応用システムの利用者を特定できるか、端末を管理できる場合以外に、提供者が許可したサービスに限り、サーバの管理が可能な応用システムの提供も認められます。

詳細は、オープンサービスグリッドイニシアティブのサイトの覚書のページをご参照ください。

 
■新覚書のFAQ  


Q.提供した資源やサービスは利用組織に自動的に利用されますか?

提供した資源やサービスは、特に指定がなければ、同一の言語グリッドの利用組織に自動的に利用が許可されます。一方、異なる言語グリッドの利用組織に対しては、サービスの利用を許諾した利用組織にのみ利用が許可されます。また、同一の言語グリッドの利用組織と同様に、異なる言語グリッドの利用組織に対しても、アクセス制限を設定することができます。


Q.企業の研究所も利用できますか?

各種研究のための利用であり、かつ営利的収益に直接的に寄与しないのであれば、企業の研究所も言語グリッド上のサービスを利用することができます。ただし、利用できるサービスは、提供者が研究目的での利用を許可したものに限られます。


Q.異なる言語グリッド上の言語サービスを連携させることができますか?

言語グリッドの違いを意識することなく、これまでと同様の利用方法でサービスを連携させることができます。また、連邦制運営で接続された言語グリッド上の言語サービスは、これまでと同様に言語グリッドサービスマネージャで閲覧することができるようになります。


Q.既存の応用システムを変更する必要がありますか?

変更する必要はありません。変更しなくても、今まで通りの利用範囲でサービスを利用することができます。ただし、拡大された範囲での利用を希望される場合は、サービス利用時に若干の修正が必要になる予定です。


■新覚書への改定状況  

2010年5月末日までに、旧覚書を締結していて、新覚書にサインされた団体は、120団体中88団体で、全体の73%に移行いただいています。改訂した覚書への移行は、4月より順次行われておりますので、移行がお済みでない方は是非とも新覚書へのご署名をよろしくお願いいたします。

新しい言語資源が追加されました

ベトナム語の形態素解析器が登録されました。

VLSP POS Tagger

ベトナム語(vi)の文章を形態素に区切り、各形態素と品詞を解析します。

(提供者:北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 Ho研究室)


オープンサービスグリッドイニシアティブ始動

オープンサービスグリッドイニシアティブは、多様なサービスグリッドを各運営組織が運営し連携して接続することで、連邦制運営モデルによるドメイン横断的なオープンなサービスグリッドを構築することを目的としています。現在、京都大学社会情報学専攻とタイ国立研究所NECTECが連邦制運営によって、言語サービスを対象としたサービスグリッドである「言語グリッド」を実現しています。

今後は、農業サービス(農業知識や圃場情報センサをサービス化したもの)を扱う「農業サービスグリッド」や、教育サービス(教育コンテンツやe- Learningシステムをサービス化したもの)を扱う「教育サービスグリッド」など様々な分野への応用が期待されます。


(お問合せ:contact [at] langrid.org)

オープンソースプロジェクト コミュニティサイトのオープン

コミュニティサイトでの議論
 
コミュニティサイトでの議論

 

サービスグリッドに関連するオープンソースソフトウェアのためのコミュニティサイトService Grid Open Source Projectがオープンしました。現在、サービスグリッドを実現するサービスグリッドサーバソフトウェア、サービスグリッドを言語グリッドとして利用するための言語サービス、言語グリッドToolboxが対象となっています。

コミュニティサイトにはどなたでも参加でき,多言語掲示板上に要望や質問が投稿できます。今後は、各ソフトウェアについての質問や要望は、このサイトでご投稿下さい.

要望を投稿していただき、コミュニティのメンバーで議論を進めることがソフトウェアの改善につながっていきます。ぜひご参加下さい.

M3(エムキューブ) 洛和会音羽病院に導入

M<sup>3</sup>の利用中の様子
 
M3の利用中の様子

 

和歌山大学吉野研究室の吉野孝先生・宮部真衣さん(博士後期3年)と、NPO多文化共生センターきょうと理事長の重野亜久里さん・前田華奈さんが共同で開発している多言語医療対話支援システムM3(エムキューブ)が、2010年3月末に、洛和会音羽病院に設置されました。

M3は、言語グリッドの持つ言語資源を利用して、実際の医療現場における外国人患者の支援を行っています。

定期メンテナンス 7月・8月

7月・8月の定期メンテナンスは、7月5日(月)、8月2日(月) 18:00-21:00 (JST)に行います。この日時に言語グリッド利用の予定がある場合は、事前にoperation [at] langrid.orgまでご連絡ください。

言語グリッド ユーザ紹介(23) コペンハーゲンIT大学

 -異文化コラボレーション J-Oresundプロジェクト-

デンマーク コペンハーゲンのコペンハーゲンIT大学では、部門を越えたGlobal Interaction research initiative (GIRI) が進行中です。そのGIRIの一つとして、言語グリッドを用いた多言語ローカルコミュニティ支援を実施しています。

ウアソン(Oresund)はスウェーデンの南スコーネ地域とデンマーク コペンハーゲンを隔てた海峡の名称で2000年に開通してから、両交換の交流が以前にも増して促進されています。

また、該当地域での日本に対する関心が年々高まっていることもあり、両国間の日本関連団体の組織交流が盛んですが、日系団体とスウェーデン・デンマーク系の日本関連団体の交流は、言語が障害となってわずかにとどまっています。

J-Oresundでは、日本に関心のあるスウェーデン・デンマーク人の日本や日本語に関する質問に日本人が返答したり、現地日本人の質問にスウェーデン・デンマーク人が返答する仕組みを提供し、コミュニティ支援に役立てられています。


(IT University of Copenhagen, Global Interaction Research Initiative, 安岡美佳)

Language Grid Toolboxの利用中の様子
 
Language Grid Toolboxの利用中の様子

 
 
GIRI説明会の様子
 
GIRI説明会の様子